第1章 〜合法ドラッグ〜
1.1 合法ドラッグの総括
1.1.1 合法ドラッグの定義
合法ドラッグとは、法律的な定義はないが、多幸感、快感等を高めると称して販売されている製品を指し、口から摂取するタイプや鼻腔から吸入するタイプなど、様々な種類がある。
これらの製品の多くは、強い生理作用を持っていることなどから、薬事法等で製造・輸入及び販売等が禁止されているものに該当する。麻薬や覚せい剤等と異なり、所持や使用が禁止されていないために、「合法」と呼ばれているが、犯罪に悪用されたり、乱用による死亡事故を招くおそれもある危険なものである。東京都では、決して法律で許されているわけではなく、法律の隙間をぬった薬物であるとの意を込めて合法ドラッグのことを「脱法ドラッグ」とよんでいる。
1.1.2 用語解説
ここではいわゆるドラッグ関連の専門用語に関して説明する。
摂取方法
経口…空腹時にオブラートやカプセルなどに包んで飲むこと。摂取後しばらく吐き気や 胃の違和感などがある。
炙り…アルミホイルやガラスパイプなどを使用して炙り、気化した物質を肺から吸収する。
直腸摂取…カプセルやスポイト(水で溶かす)などで肛門から注入する方法で、経口の場合に見られる吐き気などの症状が見られず、効果の顕れも早くなる。あらかじめ直腸を洗浄しておく必要があり、摂取後便意を催す。
スニッフ…ストローなどを使って、鼻腔の粘膜から摂取する。経口に比べて効果の顕れは弱めになる。粉末状であることが必要。慣れないうちは鼻が痛くなったり、くしゃみが出たりする。
ドラッグ用語
BAD…ドラッグにより心が不安になること。一度不安を感じると、不安感の増幅が際限なく起こる。
OD…ドラッグの過剰摂取。心身に悪影響を与える。
セッティング…ドラッグを摂取する前に、危険やBADを予防する目的で周囲の環境を整えること。
セット…ドラッグを摂取する前に、危険やBADを予防する目的で自己の精神状態を整えること。
通過儀礼…経口摂取時に感じる吐き気や胃のむかつき。
フリーベース…HCLを含む結晶(HCLベース)に重曹やアンモニアなどを加えて塩酸を中和することにより、沸点を下げたケミカルドラッグのこと。炙りによる摂取を行うことができる。
1.1.3 合法ドラッグの種類
(1) 植物系
「観賞用植物」や「植物標本」として販売されている。幻覚性の毒を持つ植物(キノコ・マッシュルーム・サボテンなど)や成分のことである。
ⅰ. ハワイアン ウッドローズ
正式名称:Argyreia nervosa
摂取方法: 皮を剥いて中身だけ食す、種をそのままグラインダーなどで細かく挽いて(粉末状)水に漬け成分を抽出させてから飲む
効果・効能:LSDに近い化学構造をもち特に視覚に強烈に作用する。飲んでから30分程で軽い吐き気や目まいが起こり、その後サイケデリックな世界が4~8時間続くのが基本パターン。ソフトなLSDっぽいハイを体験する人もいれば、不快感だけで終わる場合もある。
ⅱ. カバカバ
正式名称:iper methysticum
摂取方法:抽出エキスを飲む
効果・効能:カバカバに含まれる有効成分はカバラクトーンと呼ばれて、私たちの心を曇らせている、不安感や恐怖心をやわらげ、リラックスさせる。このハーブは筋肉にも働き、体もリラックスさせる。
ⅲ. ヨポ
正式名称:Andenanthera colubrina
摂取方法:粉末にして鼻孔吸引 (スニッフィング) 又はパイプで喫煙
効果・効能:DMTを含む幻覚作用(アッパー系)。
ⅳ. ハルマラ
摂取方法:経口摂取
効果・効能:ハルミン・ハルマリンによる幻覚作用があるが、ハルマラのみでの効果は薄く,DMT・マジックマッシュと共に経口摂取した場合効果的である。これをアヤワスカと言うが、命の危険がある。
ⅴ. アヤワスカ
アヤワスカは具体的にはDMTを含む植物と、MAO阻害剤(ハルマラ・ヤヘイなど)を含む植物を一緒に取る行為を指す。 つまり、DMT+MAO阻害剤という取り方がアヤワスカであり、これには長い歴史がある。
南アフリカのシャーマンたちの伝統を踏めば植物を使用するのが一般的であるが、直接ケミカルとしてのDMTとMAO阻害剤をいっしょに取るやり方もある。これは「pharmahuasca」のような名前でも呼ばれる。
DMT単体を口頭摂取しても胃の中の酵素によって分解されるため、なんの効果も得られないのでアヤワスカを用いる。
(2) ケミカル系
「研究用化学物質」「研究用試薬」として販売されている。化学構造を少し変更したような化学物質(デザイナードラッグ)が多く、非合法と遜色ないパワーがある。
ⅰ. 2C-T-2 (White Love)
正式名称:2,5-Demethoxy-4-ethylthiophenthylamine
摂取方法:経口投与または鼻孔吸入(スニッフィング)
効果・効能:2C-T-2を服用したほとんどの人が多幸感・サイケデリックな効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。ラブドラッグとして使用した場合、強烈な快感・多幸感が得られる。別名「ホワイトラブ」とも言われている。
ⅱ. 2C-T-7
正式名称:2,5-DIMETHOXY-4-(n)-PROPYLTHIOPHENETHYLAMINE
摂取方法:経口投与または鼻孔吸入(スニッフィング)
効果・効能:2C-T-2よりもソフトなサイケデリック効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。エネルギーが沸いてくるような感じで表現力・創造力を高める効果があり、自分自身と向き合うのに最も適したドラッグと言う人もいる。
ⅲ. 5MEO-DIPT (Foxy Methoxy)
正式名称:N,N-Diisopropyl-5-methoxy-T
摂取方法:経口投与、直腸摂取または鼻孔吸入(スニッフィング)
効果・効能: 5MEO-DIPTは触覚・視覚・聴覚に強烈に作用し、研ぎ澄まされたように敏感になり、日常では経験できないような素敵な気分になる。催淫・媚薬的な作用が非常に強力で欧米では「Foxy Methoxy」の名称で、究極の媚薬としても知られている。日本では法改正により、平成17年4月17日付けで麻薬に指定された。
ⅳ. AMT
正式名称:Alpha-methyltryptamine
摂取方法:経口投与 またはガラスパイプで喫煙
効果・効能:体じゅうに力がみなぎった感じになったり,自然にニコニコと笑いが湧き上がり楽しい気持ちになったりする。音楽は気持ち良く聞こえ、視界は色鮮やかに映り、やたらまぶしく感じたり景色の美しさに感動を覚えたりする。ロシアでは 、抗欝剤として1950年代に使われていた。平成17年4月17日より麻薬に指定された。
ⅴ. BZP
正式名称:N-benzylpiperazine
摂取方法:経口投与
効果・効能: BZPは覚醒的なサイケデリック効果を持ち、皮膚感覚を敏感にさせMDMAに似たアップ感覚を神経に与える。 少しスピード的なアッパー系の覚醒作用を発揮する。平成15年10月18日より麻薬に指定された。
ⅵ. TMA-2
正式名称:2,4,5-trimethoxyamphetamine
摂取方法:経口投与またはガラスパイプで炙って喫煙
効果・効能:TMA-2の化学構造からはメスカリンのサイケデリック性を強めた合成物質だということが言える。思考力や想像力に対しての効果は弱めだが、感覚作用への効果は大きい。皮膚感覚・色・音などが拡張される。
ⅶ. 4-ACO-DIPT
正式名称:4-Acetoxy-N,N-diisopropyltryptamine
摂取方法:経口投与
効果・効能: 4-ACO-DIPTは他のケミカルに比べて、服用してから短時間で効果を体験できる。20分程で多幸感が増し、40分程でピークに達する。視覚・聴覚に強烈に作用し、今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。
ⅷ. 5MEO-DMT
正式名称:5N,N-methoxydimethyltryptamine
摂取方法:ガラスパイプで炙って喫煙
効果・効能:喫煙後10秒ほどで効く。一瞬体が浮くような感じになるがそのうち脳と体に重く効いてくる。いろいろな世界、意識の底への遠いたびをしているような気分になる。ショート・トリップだがかなり強力である。
ⅸ. DPT
正式名称:N,N-dipropyltryptamine
摂取方法:鼻孔吸引(スニッフィング) 又はガラスパイプで炙って喫煙
効果・効能:LSD(違法)のサイケデリックを軽めにした効果が得られる。
他のサイケデリックスが往々にして使用後になかなか寝付けないがDPTは問題無く寝ることが出来るのが特徴である。
ⅹ. DXM
正式名称:Dextromethorphan hydrobromide
摂取方法:経口投与
効果・効能:アルコールに近い効きとストーン感覚を同時にもたらし、フワフワした目の廻るような浮遊感がある。意識は明晰なまま、自己の内面に耽溺してゆくような効果がある。
ⅹⅰ. 2C-I
正式名称:2,5-Dimethoxy-4-Iodophenethylamine
摂取方法:経口投与
効果・効能:視覚・聴覚に強烈に作用し、研ぎ澄まされたように敏感になり、日常では経験できないような素敵な気分にさせられる。15mg程で目に写るものが歪んで見えたり、聴きなれた音楽に新鮮さを感じるなどのサイケデリック効果が得られる。
ⅹⅱ. MBDB
正式名称:2-methylamino-1-(3,4-methylenedioxyphenyl) butane
摂取方法:経口投与
効果・効能:違法物質MDMA(エクスタシー)に極めて近い化学構造で効果も似ている。サイケデリック効果は比較的薄いが、日常では経験できないような多幸感で満たされる。
(3) アロマ系
「芳香剤」や「アロマリキッド」として販売されている。大半は液体で、ケミカル系の物質がカクテルされていることが多いようである。
ⅰ. SFX
摂取方法:経口投与
効果・効能:軽めの高揚感でリフレッシュには最適。単独で使うより他のアロマとのミックスでパワーを発揮する。
ⅱ. WARP DRIVE
摂取方法:経口投与
効果・効能:多幸感・サイケデリックな効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。
ⅲ. BUZZ
摂取方法:経口投与
効果・効能:多幸感・サイケデリックな効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。やさしく効いてきて、やさしく抜けて翌日に残らない。
ⅳ. DAY TRIPPER
摂取方法:経口投与
効果・効能:触覚・視覚・聴覚に作用し、研ぎ澄まされたように敏感になり、日常では経験できないような素敵な気分にさせられる。
ⅴ. ZAPP (BUZZY)
摂取方法:経口投与
効果・効能:アッパーな効き目で(8)のGUN REDよりソフトな感じ。
ⅵ. COME
摂取方法:経口投与
効果・効能:ダウナーな効き目で(3)のBUZZに似ている。
ⅶ. WING
摂取方法:経口投与
効果・効能:サイケデリックな効き目で(4)のDAY TRIPPERに似ている。
ⅷ. GUN-RED
摂取方法:経口投与
効果・効能:触覚・視覚・聴覚に作用し、研ぎ澄まされたように敏感になり、日常では経験できないような素敵な気分にさせられる。アロマの中ではもっとも強烈かもしれない。
ⅸ. GUN-GREEN
摂取方法:経口投与
効果・効能:多幸感・サイケデリックな効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。(2)のWARP DRIVEを強力にした感じである。
ⅹ. GUN-YELLOW
摂取方法:経口投与
効果・効能:多幸感・サイケデリックな効果を感じ、視覚・聴覚・皮膚感覚に今まで感じたことのない特殊な変化が現れる。(3)のBUZZをより強力にした感じ。
ⅹⅰ. GUN-PURPULE
摂取方法:経口投与
効果・効能:触覚・視覚・聴覚に作用し、研ぎ澄まされたように敏感になり、日常では経験できないような素敵な気分にさせられる。(4)のDAY TRIPPERを強力にした感じ。
(4) スモーク系
「御香」として販売されている。主にパイプなどに詰めて吸うタイプである。
ⅰ. サルビア
正式名称:Salvia divinorum
摂取方法:パイプで喫煙
効果・効能:ダウナー系で、色彩豊かな幻覚が見られる。欧米ではマリファナの代用品として愛用されている。マリファナより強烈な体感があるといわれる。
ⅱ. ブルーロータス
正式名称:Nynphaea Caerulea
摂取方法:パイプで喫煙、お茶として飲む、ワインに浸す
効果・効能:ブルーロータスの効果を実験する英国のテレビ番組が1998年に放映され、花を2~3日漬けておいたワインは飲んで15分程で効果を感じられ「とてもリラックスする」「気分がよい」「幸せを感じる」などの状態が2時間半程続いたという結果が報告された。多くの体験談でも同様なことが報告されている。空腹時によく抽出したティー(最大の効果を得るにはハーブ5gをしばらく浸しておく))を飲むと10~20分で効果が現れ身体が酩酊感によって支配される。視覚的変化が誘発され目の前の壁が動いているように見えるなどの症状が現れ、この状態が2~3時間程続き、それからゆっくり下降していく。体感レベルは高めである。
ⅲ. マリファニリャ
摂取方法:パイプで喫煙
効果・効能:名前の通りマリファナに似たナチュラルトリップ。体感レベルは微弱。
ⅳ. カリフォルニアポピー
摂取方法:パイプで喫煙
効果・効能:北米原産のケシ科の植物でマリファナと似ているが非常に弱い。副作用は認められない。
ⅴ. ミモザプティカ
摂取方法:パイプで喫煙
効果・効能:中南米では精神を安定させる薬、睡眠を促進させる薬として用いられていた。
(5) 二トライト系・ホッパーズ系
「ビデオクリーナー」として販売されている。また、「御香」として売られていることもあるようだ。見た目はアロマ系と似ているが、こちらは、揮発性があり、鼻から吸引する。
ⅰ. ニトライト系 (RUSHなど)
正式名称:ブチル(イソブチル)・ニトライト
摂取方法:ふたを開け気化した液体(ガス)を鼻から思い切り吸引。
効果・効能:吸引すると全身の動脈が広がり、心臓の鼓動が早くなる。顔面は紅潮し、頭がボーっとして、足元がふらつき、立ちくらみのような状態になる。エクスタシー(オルガスムス)の直前に嗅ぐと男女とも数倍の快感が得られる。多くのドラッグの効き目を急激に高める。
1.1.4 合法ドラッグの主な成分
1.1.3では合法ドラッグの種類を列挙したが、それに含まれている成分とその有害作用をまとめてみる。
化学名 <略名> |
起源/用途 |
有害作用 |
法規制 |
備考 |
マオウ (塩酸エフェドリン含有) |
マオウ科の植物。地上茎を医薬品として使用。主成分、エフェドリン |
不眠,神経興奮,血圧上昇,頭痛,幻覚,不整脈,心停止 |
地上茎を経口摂取する製品は医薬品に該当 |
Ma-Huangと表示された製品に含有されていることが多い。 |
塩酸エフェドリン |
気管支喘息、感冒、肺結核、上気道炎などに伴う鎮咳。鼻粘膜の充血・腫張治療剤 |
不眠,神経興奮,血圧上昇,頭痛,幻覚,不整脈,心停止 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。1個中25mgを超えて含有するものは、劇薬。 |
Ma-Huangと表示された製品に含有されていることが多い。 |
塩酸フェニルプロパノールアミン |
鼻炎用内服剤,鎮咳去痰用剤,感冒用剤,上気道炎治療剤に配合 |
不眠,神経興奮,血圧上昇,頭痛,幻覚,不整脈,心停止 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。 |
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ヨヒンベ |
アカネ科の常緑高木の樹皮を医薬品として使用する.主な成分として,ヨヒンビンを含有 |
発汗,吐き気,嘔吐,痙攣,呼吸麻痺 |
経口摂取する製品は医薬品に該当 |
|
塩酸ヨヒンビン |
強精・強壮剤、神経衰弱性陰萎、衰弱性射精、老人性陰萎、血管拡張に使用 |
発汗,吐き気,嘔吐,痙攣,呼吸麻痺 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。劇薬 |
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塩酸ピロカルピン |
ピロカルピンはPilocarpus属植物の葉であるヤボランジ葉の主アルカロイドである。 |
発汗,下痢,嘔吐,呼吸麻痺,肺浮腫 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。原体は毒薬.製剤は劇薬. |
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2,5-ジメトキシ-4-チオエチルフェネチルアミン |
フェネチルアミン系の化合物。天然には存在しない。日本や欧米等では,医療上の用途で使用されていない。 |
強烈な吐き気,頭痛,排尿困難 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。 |
幻覚サボテンに含まれるメスカリン(麻薬)と化学構造的に基本骨格が同一 |
ガンマヒドロキシ酪酸<GHB> |
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嘔吐,低呼吸,徐脈,妄想,意識消失,昏睡、死亡例有り |
平成13年11月25日以降麻薬として規制。 |
麻薬の指定は、平成13年6月11日の国連の条約に基づくものである。 |
ガンマブチロラクトン |
日本や欧米等では,医薬品として認可されていない。 |
嘔吐,低呼吸,徐脈,妄想,意識消失,昏睡,死亡例有り |
経口摂取する製品は医薬品に該当。 |
販売名に「G」がつく製品が多い。 |
1,4-ブタンジオール |
日本や欧米等では,医薬品として認可されていない。 |
嘔吐,意識消失,昏睡,呼吸障害 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。FDAは健康有害物質にあたるとの警告を発している. |
販売名に「G」がつく製品が多い。 |
α-メチルトリプタミン |
日本では医薬品として承認されていない。 |
嘔吐,呼吸障害,運動失調,昏睡,幻覚,精神分裂 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。平成17年4月17日以降麻薬として規制 |
麻薬に指定されているDMTとその構造が酷似している。 |
亜硝酸アミル類似成分 |
亜硝酸イソブチルは化学工業原料として使用されている。 |
脳貧血、めまい、血圧低下、心悸亢進、頻脈、虚脱、チアノーゼの唇や皮膚、失神、頭痛、嘔吐、メトヘモグロビン血症、尿失禁、便失禁等 |
亜硝酸イソアミルを用いた医薬品は劇薬。 |
極めて引火しやすい。 |
クロロエタン |
化学工業原料として使用 |
めまい,運動麻痺,意識消失,昏睡,皮膚接触により凍傷 |
劇物(原体) |
極めて引火しやすい。 |
臭化水素酸デキストロメトルファン |
日本において医薬品として承認例あり |
不眠、悪心・おう吐、頭痛、めまい、口渇 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。 |
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2,4,5-トリメトキシアンフェタミン |
日本や欧米等では医療用途では使用されていない。 |
幻覚・妄想を引き起こす恐れがある。 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。 |
麻薬に指定されているTMAと化学構造が酷似している。 |
2,5-ジメトキシ-4-チオプロピルフェネチルアミン |
フェネチルアミン系の化合物。日本や欧米等では,医療上の用途で使用されていない。 |
強烈な吐き気,頭痛,排尿困難 |
同様の物質に2-CT-2がある(上記参照) |
幻覚サボテンに含まれるメスカリン(麻薬)と化学構造的に基本骨格が同一 |
アンドロステンジオン |
男性ホルモンの一種。 |
睾丸機能低下(男性) |
経口摂取する製品は医薬品に該当 |
欧米では筋肉増強剤として流通している。 |
1-ベンジルピペラジン (BZP) |
日本及び諸外国で医療用の用途はない。 |
頭痛、震え、口渇、不眠など不安を伴う精神症状が報告されている。 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。平成15年10月18日以降麻薬として規制 |
この物質を含むピペラジン誘導体は、欧米を中心に近年乱用されはじめている。 |
クエン酸シルデナフィル |
国内でも、勃起不全治療薬(ファイザー製薬株式会社が販売するバイアグラ錠)として承認された医薬品がある。 |
頭痛、ほてり、視覚障害等 |
経口摂取する製品は医薬品に該当 |
近年、 |
2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミン(2C-I) |
フェネチルアミン系の化合物。日本や欧米等では、医療上の用途で使用されていない。 |
不快感、強烈な吐き気、頭痛などを生じる可能性がある |
経口摂取する製品は医薬品に該当 |
幻覚サボテンに含まれるメスカリン(麻薬)と化学構造的に基本骨格が同一 |
5-メトキシ-N,N-ジイソプロピルトリプタミン |
日本及び諸外国で医療用の用途はない。 |
麻薬に指定されているエトリプタミン、DET(N,N-ジエチルトリプタミン)、DMT(N,N-ジメチルトリプタミン)、サイロシン及びサイロシビンと類似した化合構造を有するため、依存性を有するおそれがある。吐き気、視覚・聴覚に異常をきたすおそれがある。 |
経口摂取する製品は医薬品に該当。平成17年4月17日以降麻薬として規制 |
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リドカイン |
局所麻酔薬(表面麻酔)、抗不整脈薬として医薬品に使用されている。劇薬である。 |
重大な副作用としてショック、悪性高熱、振戦、けいれん、心電図異常が現れることがある。その他、眠気、不安、興奮、霧視、悪心、嘔吐、じんましん等の過敏症が現れることがある。 |
強壮効果(勃起効果)など医薬品的効能を標ぼうしている製品は医薬品に該当 |
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アミノ安息香酸エチル |
局所麻酔薬(表面麻酔)として医薬品に使用される。劇薬である。 |
重大な副作用としてショック、悪性高熱、振戦、けいれんを起こすことがある。 |
医薬品的効能を標ぼうしている製品は医薬品に該当 |
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1.1.5 合法ドラッグの合法性
麻薬類の禁止はその成分を公表することにより行われる。単に、幻覚効果があるなどでは検挙できない。風邪薬などでも大量摂取すれば同じようなことが生じるので風邪薬を持っているだけで検挙されたりしないようにしているのである。ところで、合法ドラッグはその成分がまだ禁止されていないが似たような効果を示すものといえるだろう。ただし、その成分がいつ禁止されるかわからないし、禁止後は持っているだけで検挙されるので、持たない方が良いと思われる。さらにその成分が医薬品として規制されているもの(例えばトリプタミンなど)は、それを摂取目的で販売することは薬事法で禁止されている。つまり「ドラッグ」として売ることは違法なのである。このような商品は、「医薬品として売らなければ現在のところは法に反しない」ことを利用して販売されている。実際、研究用に販売されているケミカルや芳香剤として売られているリキッドの他にも、ビデオクリーナーとして販売されているニトライト、観賞用と書かれたナチュラル、タバコに模したスモークなどあらゆる形で合法ドラッグが売られている。これを考えると都の名づけた「脱法ドラッグ」という名称が適切であるように思われる。現在の脱法ドラッグ対策としては、違反業者の取り締まり、インターネット上の広告監視、全都道府県での買上げ調査を実施などがある。脱法ドラッグのうち、科学的根拠に基づいて依存性、精神毒性等が認められたものを麻薬に指定している。
それでは次に代表的な合法ドラッグ、ベニテングダケとトリプタミンについて具体的に見ていこう。